Index

はじめに

 

2005年7月27日から8月3日まで、京都国際会議場と京都コンサートホールにおいて世界合唱シンポジウムが開催されました。これは、国際合唱連合(IFCM)により3年に一度、世界の合唱団と合唱指導者がセミナー、ワークショップ、コンサートを繰り広げ、合唱音楽の芸術性を高めるとともに、世界の合唱人の共同作業と交流を図ることを目的として、行われる一大イベントです。京都でのシンポジウムは、アジアで最初の世界シンポジウムとなります。次回は3年後デンマークのコペンハーゲンにて開催される予定です。

 参加費は、全期参加で、なんと、6万6千円!! 私の場合は「早期割引」で6万円支払いました。それだけの価値があるのか? しかし、地元京都での開催。交通費や宿泊費は不要、となれば、かなりの「お得」、と自分で理屈を付けて、思い切って「エイヤ!」と、参加申込のクリック。インターネット登録でなければ参加していなかったかもしれません。6万円持ってどこかへ出かけて登録、ならば、迷っているうちに行きそびれていたでしょう。

 そのイベントに参加しての感想です。かなり個人的な趣向に基づく、偏見に満ちた感想とは思いますが、是非文章にして残したいと思い、記録いたしました。他の方々にもお読みいただければ幸いです。

 

INDEX
  1. 1日目 7月27日
  2. 2日目 7月28日
  3. 3日目 7月29日
  4. 4日目 7月30日
  1. 後半1日目 8月1日
  2. 後半2日目 8月2日
  3. 後半3日目 8月3日

 


1日目 7月27日


 

この日はコンサートホールで行われるレセプションとオープニングガラコンサートだけなのだが、受付のために一旦本部のある国際会議場まで行かねばならない。ちょっと面倒…。

 国際会議場へ向かう。所要時間、バイクで約25分。受付は、名札やレジュメ類一式もらっただけであっさりと終わる。今日は国際会議場に長居してもすることがないので、少し早いが(と言っても20分ほど)6時に始まるレセプションとやらに行こう。


 さて、コンサートホールにて。早く歩くと目の回りそうなスロープに既に人が並んでいる。事前の案内にはレセプションはホワイエで行われると書いてあったが、こんな狭いところで出来るわけがない。みんなが並んでいるところを見るとホールのロビーであるのかな?、と列後尾に付く。

 6時になってやっと列が動き出した。ロビーには飲み物の無料提供があるらしい。とりあえず、私のコンサートホールでのお気に入りの席、3階のステージ横の張り出し席に荷物を置いて席を確保し、ロビーに出る。何が始まるのかと楽しみにしていたが、結局なにもイベントはなく、皆、飲み物片手にウロウロしながら立ち話をしているだけだった。これならもっとゆっくり来ればよかった。


 コンサートは子供たちのリズム打ちのアンサンブルで幕開き。これはプログラムにはなかった。その後のプログラムは雅楽の「越天楽」、宝塚少年少女合唱団横須賀芸術劇場合唱団少年少女合唱隊の合唱付き。

 プログラムは、ジャパンユース合唱団による高橋悠治「クリマトーガニ」、比叡山延暦寺の声明、クール・ジョワイエによる間宮芳生「合唱のためのコンポジション第14番より『観請』」、合唱団京都エコーによる池辺晋一郎「相聞III」、菊水鉾保存会による祇園囃子、多治見少年少女合唱団による柴田南雄「北越戯譜」より、グリーン・ウッド・ハーモニーによる鈴木輝昭「斉太郎節考」、合同合唱(女声・少年少女)による小倉朗「ほたるこい」、合同合唱(男声)による松下耕「刈干切唄」、合同合唱(混声)による三善晃「ソーラン節」、全員合唱によるシンポジウムテーマ曲、坂本龍一「Cantus omnibus unus」と続く。

 この中でピカ一は多治見少年少女合唱団による柴田南雄「『北越戯譜』より」だった。まりつき、羽根つき、お手玉などの昔ながらの(昔の?)遊びをしながら、いろいろなわらべ歌が交錯するように歌われた。視覚的にもとてもよかったし、歌そのものもとてもよかったと思う。

 コンサートが終了後、インターネットを通じて知り合いになったグリーン・ウッド・ハーモニーの人に会えないかと楽屋口でしばらく待ってみたが、とにかく大勢の出演者。人があふれていて、これではとても会えそうにない、と諦めて帰った。

 

 


2日目 7月28日


 

まずはオープンシンギング。講師はスウェーデンのゲイリー・グラデンさん。朝のウォーミングアップというか楽しい体操の後、高知で合唱ワークショップがあった時に歌った「Good Morning」と大会テーマソング「Cantus omnibus unum」を、その後講師を松下耕さんに交代し「てぃんさぐぬ花」を歌う。

 午前のセミナーはいくつかあるセミナー、ワークショップの中から、自分の興味のあるものを選択して受講する。私の選んだのは「ラテンアメリカの合唱音楽」・講師:エドソン・カルバーリョ(ブラジル)。 細切れの解説をするよりも、ネットでゆっくり聴いてくれ、とのことで、講師のウェブサイトを紹介してくれた。 http://www.musical-online.net/ まだ完成していないサイトだが、publisherのリンクからサンプル音源が聴ける。ゆくゆくは直接いろいろ載せたい、とのことだったが、現在はまだ「工事中」。 セミナーでは、解説代わりに実際にブラジルのバイオンのリズムに乗った合唱曲や、最新の宗教曲などを初見で歌った。ただ話を聞くよりもこうして実際に歌ってみるととてもよくわかって良いと思う。

 アフタヌーンコンサートは "Roots of chant"と題してオルフェオン室内合唱団(トルコ)とオスロ室内合唱団(ノルウェー)の演奏。どちらもとてもよかったが、圧倒されたのはオスロの演奏だった。

 オスロは、最初、舞台上に6人、他の殆どが客席の周囲にぐるりと並び、数人が間の通路に。そして、普通の4部とかの合唱ではなく、木霊が響いてくるようにいろいろな方向から自由に歌いだす。何とも表現のしようのない素晴らしさだった。メインのソリストは民謡(もちろんノルウェーの)歌手を招いたらしい。このソリストの歌声がまたすばらしい。

 午後のセミナーは、日本の合唱音楽〜作曲家と共に「日本と西洋の接点」・講師:新実徳英/松平頼暁を受講。  シンポジウムでは公用語が英語なので、日本人の講師であっても英語でのレクチャーされる。少々たどたどしくても自分の言葉で(英語で)語ってくれる講師は良いが、英語が苦手なのかレジュメの棒読みになってしまう講師には日本語で講義してもらって通訳を付けたほうがよかったのではないかと思う。

 晩のスペシャルコンサートは "In memoriam…"と題してノルディック・ヴォイセズ(ノルウェー)とバッハ・コレギウム・ジャパン(日本)。どちらも普通の堅い(クラシックの)曲だったので、演奏としては高レベルの良い演奏だとは思うものの、特に特別のものを聴いた、という感激はない。

 バッハ・コレギウム・ジャパンには、面白い楽器が出ていて興味を引いた。
トランペットは2本持ち替えていて、どちらも一見バルブトロンボーンと自然管ラッパの中間的存在の楽器に見える。 1本は右手が手前。ちょうど普通のトランペットのピストンがある辺りの位置にスライドがあるようで、動かしながら演奏していた。
もう1本はスライドやバルブは無いように見えました。下から、ド、ミ、ソ、ド、レ・・・その上ももっとあったが、それだけの音が出ていたということは、トロンボーンより1音高いだけのC管で、上の方の倍音で鳴らしていたのではないかと思う。

 他に、まるで「曲がったチベットラッパか、それともホースラッパか?」という楽器もあった。 4人並んでいて、右がおそらくファゴット(少なくとも今のファゴットに見える)、一番左がちょっと大きめのリコーダーにオーボエの吹き口をくっつけたように見える楽器。その間に挟まれた2人の「不思議な楽器」。口元はオーボエのように細くなっていたから、ダブルリードだと思う。ラッパの先は、トランペットのベルを流用したように見える。その間は、黒いものでグルグル巻いてあるように見え、カーブしている。リードをくわえ、カーブしたものを体の前に置き、ベルの先が後ろを向いて、足ではさんでいる感じだった。そして、ふつうの木管楽器のような持ち方で、木管楽器のように指を動かしていた。
何と言う楽器なのだろう?

 小型の鍵盤楽器、これはオルガンなのだろうか? あるいはクラビコードかもしれないが、音が小さくてそれだけの音色が聞き取れないので判らなかった。今のピアノやオルガンのように鍵盤が手前に出てきていないので、ものすごく座りにくそうだった。女性の奏者が足をガバッと開いて楽器に近づいて弾いていた。

 

 



3日目 7月29日


オープンシンギングでは体操などの後、大会テーマソング「Cantus omnibus unum」や「Road」というゴスペル風の歌を歌った。

 今日は午前のセミナーは、日本の合唱音楽〜作曲家と共に「琉球音階と囃子、ヘテロフォニー」・講師:中村 透/西村 朗を受講。
まあまあの内容。

 アフタヌーンコンサートは、広東実験中学校合唱団(中国)、ヴォーカルアンサンブル《EST》(日本)、オランダ・ユース合唱団(オランダ)の3団体が出演。
いずれの合唱団も難解な現代曲をよく歌っていたし、技術的にはかなりのものだと思う。しかし、正直なところ午後の眠くなる時間…。少々居眠りモードに陥ってしまった。

 午後のセミナーは、アフリカの合唱音楽・講師:ルプウィシ・ムヤンバ(モザンビーク)/アナマリー・ファン・ダー・ヴァルト(南アフリカ)を受講。
アフリカの現状を伝えるまっとうな「お話」だったが、もっと実際に音楽を聴くなど、とか、音楽そのものの話が聞きたかったと思う。後に書くラ・グラースが2曲披露してくれた。

 イブニングコンサートは "Southern heat"と題して、ビクトリア合唱団(グアテマラ)、ラ・グラース(コンゴ民主共和国)、パラヒャンガン・カトリック大学合唱団(インドネシア)が出演。
 ビクトリア合唱団はラテンアメリカらしい明るく楽しい歌の数々を披露してくれた。

 次はコンゴのラ・グラース。今回とても期待していた合唱団だ。期待通りのリズミックな楽しいステージで、声の表情がとても豊かだ。ヨーロッパの音楽だと、こんな声を出していたらハーモニーが作れないからダメだと言われそうな声がいっぱい使われているので、西洋的な感覚の「合唱」ジャンルからは外してしまう人もいるかもしれない。が、私個人的にはとても好きだ。
 伴奏に、「バラフォン」だろうか? マリンバの類で、木で出来ていて、共鳴体として木の実(瓢箪だろうか?)がずらりとぶら下がっている。それをクビから、駅弁売りのように掛けて演奏。それとギターとコンガ、他に、歌っている人たちの数人が、くし団子型シェーカーなどの小物を持っていた。
 バラフォン(?)は、チューニングを変えて、3つの楽器を持ち替え。1つはG、もう一つがD、3つめは私には認識不能な音程だった。(でもその認識不能な音程の時、ギターはCのコード弾いていた。)
 バラフォン(?)の奏者とギター奏者が、演奏しながらずっと同じステップを踏んでいる。時には2人並んで踊るようにステップを踏みながら。それでもちゃんと演奏している。
 演奏が終わった後、割れんばかりの拍手。次のインドネシアさんはかすんでしまってかわいそうだな、などと思っていた。

 ところがところが!!

 パラヒャンガン・カトリック大学合唱団は、これまた踊りやパフォーマンス付きの楽しいステージ。プログラムでは現代曲を演奏する予定だったのが、インドネシア民謡に変更になっていたのだ。まるで大道芸のようなパフォーマンスをしながらの楽しい演奏。どんなパフォーマンス、と書き表せないのが残念だが、きっと部族の祭りで行う踊りのようなものなのだと思う。

 合唱でこんな楽しいステージは初めてだった。しかも歌も、こんな国際的な舞台に招かれるぐらいだからハンパじゃない。日本で今、この2つの合唱団の真似をできるとすれば、きっと劇団四季ぐらいだと思う。

 

 



4日目 7月30日


 

オープンシンギングでは体操などの後、大会テーマソング「Cantus omnibus unum」など数曲歌う。

 午前のセミナーは、東欧の合唱音楽〜東方正教会の音楽−伝統と現代・講師:テオドーラ・パヴロヴィチ(ブルガリア)を受講。
 英語が早口で聞き取りにくかったので、わかったようなわからないような…。(笑) 教会音楽にだけ焦点が当てられていたように思うので、もう少し、教会音楽が音楽全体の中でどのような位置を占めているのか知りたいとも思ったが、質問しても回答が理解できそうにないのでやめておいた。f(^^;)

 アフタヌーンコンサートは、なにわコラリアーズ(日本)、ニューヨーク市ヤング・ピープルズ・コーラス(アメリカ)、韓国国立合唱団(韓国)の出演。
 なにわコラリアーズは日本では屈指の合唱団ではあるがもう一つさえない。取り立てて何が悪かったというわけではない。コンサートが終わってから通路を歩いていた時に、横を歩いていた人が友達同士で話し合っていたが、その時ふと聞こえてきた言葉、「なにコラ、フツーだったね。」。これがまさに言い得て妙。このような場では、何かキラリと光るものが欲しいと思う。

 午後のセミナーはアジアの合唱音楽「東アジア」・講師:リー・ギョンヨン(韓国)/ウー・ルンシュン(台湾)を受講。
 韓国からの講師は自作の合唱曲を披露。韓国音楽をどのように導入しているかを解説。
 台湾からの講師は、ブヌン族の「倍音祈祷歌」を、ブヌン族の人々の実演入りで披露。聞きながら、朝、我が家の周辺で時々聞こえてくる臨済宗(?)僧侶の「お〜」という声のハーモニーを思い起こす。あの「お〜」という声も、時に3度でハモったり、5度、3和音、中には7度の微妙なハーモニーを作り出す僧侶もいる。意図的にハーモニーを作り出しているのか、それともマイペースなのか知らないが、聞いているほうはとても面白い。

 イブニングコンサートはまず国立京都国際会館でデンマークのヴォーカル・ラインの演奏、そして時間を空けて京都コンサートホールでウィニペグ・シンガーズ(カナダ)とノルディック・ヴォイセズ(ノルウェー)の演奏。マイク設備の事情であろうか。
 ヴォーカル・ラインの演奏は、ボイスパーカッション入りの「今流行の」アカペラコーラスを大人数にした、と言えばイメージがコQめるだろう。楽しい演奏だった。

 ノルディック・ヴォイセズは2日目に続き2回目のコンサートでの演奏となる。今回は、前回と曲の趣を変えてのプログラムだった。
 印象的だったのは「フラグメント」という「曲」。喋り声、笑い声、物音(口で音を立てています)などが絶妙なタイミングで掛け合いのように出てきて、音がなくなったときの緊張感、これが何とも言えず良い。無音が長く続きものすごい緊張・・・そして突然歌い(?)手が緊張をほぐし、お辞儀。客席からは拍手喝さい。本当に面白かった。

 

♪♪SOLD OUT」♪♪

 

会場ではいたるところであらゆるものがSOLD OUTになっている。
まず無料提供の飲み物。朝のうちにもうSOLD OUT。

 コンサートが終わると、拍手もそこそこに席を後にする人が大量にいる。そう、今聴いたその団体のCDを手に入れようと売店にダッシュする人たちだ。司会の方の話を最後まで聞いて出たのではもうSOLD OUT。今日のNordic Voicesの後も当然のようにSOLD OUT。

 朝のセミナーの後、ノルウェーのブースで「オスロ室内合唱団の演奏した曲の楽譜はあるか?」と尋ねたら、今来たところなのでほんのちょっと待ってくれ、という。ちょっと待ったがさて、いつまで待たされるのか?コンサートに遅刻したくはないしお昼ごはんも食べたい。サンドイッチなどは売り切れ。う〜む、と考え、コンビニまで走っていって(車輪付きで)戻ってきてまた尋ねると、SOLD OUT、と言われた後、「あ、これが残っていた」、と。まあ、一番欲しかった楽譜を手に入れ、他にコンサートではやっていない曲を2曲手に入れましたが、ホント、このSOLD OUTの早さ!!

 

 


後半1日目 8月1日


 

今日のオープンシンギングでは大会テーマソング「Cantus omnibus unum」、オープンシンギングピアニストでもあるSandra Millikenさんの「Missa piccola」などを歌った。この「Missa piccola」はとても面白い。是非何かの機会にまた歌ってみたいと思う。

 午前のセミナーはなく、アフタヌーンコンサートから始まった。
 今日のアフタヌーンコンサートは"Southern heat"と題して、ビクトリア合唱団(グアテマラ)、ルイビル大学カーディナル・シンガーズ(アメリカ)、ラ・グラース(コンゴ民主共和国)の出演。

 これまで、私はほぼ「指定席」のように、3階上手側の前方の「張り出し席」に座っていたが、今回は2回目になる団体が多いので、席を移動して、1階前寄りに出てくる。今回は視覚的に楽しみたかったので。

 ビクトリア合唱団のコンサートプログラムは前回と同じで少しがっかりした。
ルイビル大学カーディナル・シンガーズはspiritualsを歌うアメリカらしい合唱団。
ラ・グラースは、曲目はかなり前回と重なっていたが、衣装やパフォーマンスなど見せる部分で少しグレードアップ。前と同じく楽しいステージだった。

 午後のセミナーは、予定していたヨルダンからの講師のアジアの合唱音楽「中東」がキャンセルになってしまったので、指揮マスタークラス(後期)・講師:テオドーラ・パヴロヴィチ(ブルガリア)に出席。モデル合唱団がいて、若い指揮者が指揮するところを講師が指導する、というものだ。こちらは楽譜がないので曲もよくわからず、もうひとつだった。楽譜を販売してくれたら(コピーとは決して言いません。)もっと有意義だったのに、と思う。

 晩のコンサートは「世界一の合唱団」前評判の高いBBCが出演します。前売り券は早くに完売してしまって(シンポ正規登録者は入れる。)、チケットを手に入れられなかった知り合いは昼のコンサートが終わった2時過ぎから当日券を求めて並ぶ。

 7時開演、6時半会場なので、普段はギリギリに行くのだが今日はもう少し早くいかないと、と思って6時10分頃に会場に行くと、なにやらすごい列。一つは当日券も手に入れられなかった人たちのキャンセル待ちの列。それを横目に歩き出すと、
 「この列は???」
もう一つ列があり、入場待ちの列だった。座席は自由なのでいい席を確保しようという列だ。ホール入り口から1階まで降りてきて、またカーブして2階の方に延びている。それに並んた。

 開場になって入り口まで達すると、人々は走り出す。
 「走らないでください!!」とスタッフの人の声。
広いコンサートホールなので、開場時に並んでいた人たちはちゃんと席を確保。私も、「いつもの席」(3階のステージ前方上の張り出し席)を確保。
この時、開場の90%以上は日本人だったのではないかと思う。外国からの方は、開演少し前に続々と来場。

 開演時にはコンサートホールは満席。席を見つけられずに後ろに立っている人、通路に座っている人が数十名。よくファンファーレをやる、ステージ後方の高いところの席も開放。休憩後はステージ後方の座席も開放された。
 見渡して空席を探したが、本当にいっぱい。ステージ後方の席以外で見つけられた空席は3つだけだった。普通は「満席」と思っても空席がポコポコ空いているものなのに。こんなコンサートホールは初めてだ。

 出演はスコラ・ゴティア(スウェーデン)とBBCシンガーズ(イギリス)
 スコラ・ゴティア(スウェーデン)は女声4人でグレゴリオ聖歌など作者不詳の古い歌を歌う団体。とてもきれいだった。
 BBCシンガーズ(イギリス)はすべて現在生きている作曲家の作品。小難しくてちょっと…、という曲もあったが、面白い曲もあった。本当に上手い合唱団だと思う。

 今日は初めてお隣の席に外国からの方(スウェーデンの方)がいらしたので、話しかけてみた。プログラムの日本語を読んであげたり、文字の意味(この漢字がこういう意味で…等)を教えてあげたり、名前をカタカナで書いてあげたりしたら喜んでくれた。その方は、休憩の時に「友達に見せてくる」とちょっと離れたところに座っていた友達に見せに行き、戻ってきた時にまた見せてくれた。私の書いたカタカナの下に、漢字で何やら書いてある文字を。中国語で書いてもらった、と喜んでいた。

 

 


後半2日目 8月2日


 

今日のオープンシンギングは盛りだくさん。大会テーマソング「Cantus omnibus unum」はもちろん、曲集に載っている曲を数多く歌った。その中で是非とももう一度歌って見たいと思った曲は、フィリピンのF. F. Felicianoの「Silence my soul」。今流行の、口々に祈りの言葉をつぶやき、sound clusterを作り出すタイプの曲。おそらく2度と歌うことはないだろうが…。

 今日の午前のセミナーは 南太平洋の合唱音楽・講師:ランディ・フォン(アメリカ)/イゲリース・エテ(ニュージーランド)を受講。
 最初がハワイ、後がサモアの音楽だった。DVDを見たり、実際に歌ったりの、あまり英語力を必要としない講座だった。

 アフタヌーンコンサートはカンタービレ・リンブルク(ドイツ)、東京少年少女合唱隊・LSOTシニア&ユース・コア(日本)、ルイビル大学カーディナル・シンガーズ(アメリカ)の出演。
 カンタービレ・リンブルクはドイツのオーソドックスな男声合唱。ロマン派の曲で、悪くはないが特にこれと言って惹かれるものもない。
 東京少年少女合唱隊・LSOTシニア&ユース・コアはとても上手いと思った。日本民謡や日本の曲に基づいた曲。作曲はかなり前衛的な作品を書いている作曲家。こどもたちも一緒に歌った民謡に基づいたものはそれほど前衛的でもなく聴きやすかったが、シニアの演奏した「さくら」は、かなり難解な作品。しかも、日本語に聞こえない。どう聴いても欧米人口調の「Sau koo rau」という感じで、かなり抵抗があった。「さくら」は日本語で歌って欲しい。
 ルイビル大学カーディナル・シンガーズは昨日も出演したが、昨日はspirituals、今日は固い曲。悪くはないが、特に何もなし。

 午後のセミナーは、ヴォーカルジャズアンサンブルのリハーサルテクニック・講師:ドゥウェイン・デイヴィス(アメリカ)を受講。
 もっとマイクの使い方などの具体的な話が多いかと思っていたのに、Jazzの歴史の話が長すぎて、具体的なJazz chorusの話はあまりなかったのが残念。

 イブニングコンサートは "Roots of chant" と題して、ヴォカールアンサンブル・アニマ(ロシア)、サン・ミゲル・マスター・コラール(フィリピン)、フィロメラ(フィンランド)の出演。
 ヴォカールアンサンブル・アニマはロシアの男声合唱団。すばらしいカウンターテナーがいて、少々「カウンターテノールとバックコーラス」という雰囲気がしないでもなかった。

 サン・ミゲル・マスター・コラールは抜群の上手さ。プロの合唱団だ。
 2日目に出演したオスロ室内合唱団と同じ手法の曲を、同じように客席にちらばって演奏。これを最初に聞いていたら感激していたと思う。でも、オスロを聴いた後だから前ほどの感激はない。
 民謡を題材にした曲では、発声法をコロッと変えて、民謡の発声で。この変わり身が素晴らしい。特にソリスト(女声)はドスの効いた、というか、何とも言えない魅力的な声だった。

 フィロメラは30人ほどの女声合唱団。これもまたしてもオスロ、フィリピンと同じ手法の曲を客席にちらばって。ここまでやられると、ちょっとなあ、と思ってしまう。確かにこれを最初に聴いていたら感激しただろうけれど、もういいわ、という感じのほうが強まってしまう。声はかなり固い響きの声で私個人的にはあまり好きではない。

 

 


最終日 8月3日


 

オープンシンギングは、これまたソングブックの曲を歌い尽くそうというのか、盛りだくさんだった。その中で歌った「淀川三十石舟歌」、以前に所属していた合唱団で歌ったことはあったが、その時は私のイメージと全く違う曲作りだった。今回は決して以前には出せなかった声で、思い切り、「私ならこう歌う!」とばかりに自分流の歌い方で歌った。一種の欲求不満解消となった。

 午前のセミナーは、バルト海諸国の合唱音楽〜その歴史と現在の特質・講師:カスパース・プトニンシュ(ラトビア)を受講。いろいろCDを聞かせてもらって内容は悪くなかったが、曲のタイトルはOHPで映し出され全然見えない。一番前まで行くと今度はボケて読めない。最後に一緒に歌を歌ったのだけれど、これもOHPで映し出された歌詞がまるで読めない。歌い始めると皆、目を細めながらどんどん前に来るのだけれど、見えないのは私だけではないらしい。国際会議場のだだっぴろい1840人収容のメインホールに、小さな楽譜をペラッと載せるだけなんて、それも角度が悪くて、まるで寝そべって見ろ、とでも言わんばかりの角度で、殆どの人が「歌えない」んじゃなくて「歌詞が見えない」ってことを気づいて欲しい。(歌の間に歌詞を言ってガイドしてくれるとか…。)

 アフタヌーンコンサートは、室内合唱団 VOX GAUDIOSA(日本)、サンフランシスコ・ガールズ・コーラス(アメリカ)、カンティクム室内合唱団(オーストラリア)の出演。
 VOX GAUDIOSAはとてもよかった。今回のコンサートでは、日本の団体の中で2番目に良かったと思う。一番は多治見少年少女合唱団。この合唱団は、各パートの声のカラーがはっきりしていて、とても良いまとまりを作り出していたと思う。

 午後のセミナーは、アジアの合唱音楽「東南アジア/インド」・講師:ジョナサン・ヴェラスコ(フィリピン)/クミ・ワディア(インド)を受講。
 フィリピンの音楽の紹介が、1時間がものすごく短く感じるほどだった。伝統音楽の音を模倣してコーラスにしたものをたくさん紹介された。楽器の模倣なので歌詞はDing Dong とかGong のようなものが多かったが、とても面白かったですよ。
 インドは、インドに入ってきた教会音楽の話が中心。

 最後はクロージングガラコンサート "Heaven on Earth"。
 曲目は黛 敏郎《涅槃交響曲》、J. ブラームス《運命の歌 作品54》、F. メンデルスゾーン《詩篇第42篇 作品42》。
 管弦楽は京都市交響楽団、合唱は「涅槃」がクール・ジョワイエなにわコラリアーズによる男声合唱、後2曲はBBCシンガーズと公募合唱団。vコンサートホールに入って、今日はいつもの3階の空中席ではなく2階席にしようと思って行ったら(オーケストラが入るので、あの空中席はバランスが悪くなるので。)、一番いい場所は招待客用にリザーブされてしまっていた。なので、その真上の3階席へ。v3階席へ行こうと右側(舞台から見て左側)の扉を入ると、譜面台と椅子、打楽器の台の上には鉄琴、鈴(sleigh bell)が置いてある。「ん? 一体何が?」と譜面台を見ると、クラリネットと書いてある。席を確保した後、反対側に回ってみると、ドラとトロンボーンの譜面台と楽譜。

 涅槃は私には難解な曲だった。男声合唱がお経のようだ。3階席のクラリネットは笙のような音。トロンボーンは低い音で「お〜」って鳴っていた。お経があってチン、カン、ゴーン、みたいな擬音の世界。トランペットも低い音ばかりで、あれなら私にでも吹けるかも。(笑)

 ブラームスとメンデルスゾーンはあまりにオーソドックスな曲なので、取り立ててコメントすることもない。合唱の質は非常に高く、文句の付け所はない。

 終了後「さよならパーティー」。1階のホワイエ、レストランを一面に使って行われたが、始めのうちはラッシュアワーさながら。次第に人数が減って動きやすくなった。
 アフリカのラ・グラースがまたもや歌い始めた。そして会場の中を、CDを売り歩く。記念に買っておこうと呼び止めた。"How much?"と聞くと、言葉がわからないのか、"two hundred"。 そんなわけないだろう、と聞き返したら、今度は six何とか、と何か一生懸命指で伝えようとしているがわからない。別の人が来て、"three thousan"と言ったのでOK、と買った。少々高いが、彼らの資金の足しになるのだからいいとしよう。
 彼らは昨日、コンサートホールのロビーで衣装も売っていた。男性用の派手なロングの巻きスカートが5千円。思わずいいな、と思ったあ、男性用だから着るわけにもいかない。彼らはとにかく、商売熱心だ。というのも、独力では日本に来るだけの資金がなく、ユネスコの仲立ちでスポンサーに資金援助をしてもらいやっと日本に来られたとのこと。まあ、日本でできるだけ小遣い稼ぎをしてもらおう。

 さよならパーティーではそれまで裏方に回って下さっていた京都エコーの方なども出てきていて、顔見知りにも出会った。スタッフの方々は、私のようにすべてのセミナーやコンサートに出席することも出来ずに仕事をしていただき、本当にありがたいと思っている。

 また、このような機会を通じて、仲間が広がっていく。オープニングガラでは出会えなかったグリーンウッドの人にも、3日目のセミナー会場で出会えた。以前所属していた合唱団の人には何人も再会した。また、今回、それまで知らない人だったのに、たまたま話をするようになった方々にまたどこかで再会することがあったら嬉しいと思う。3年後にデンマークで、と言いたいが、遠いし、まず行くことはないだろうが、何かのイベントやどこかのコンサートでまたお会いしましょう。

 思う存分合唱に浸った1週間。まだその余韻を引きずりながら、明日から社会復帰しなければならない。一応音楽を職業としている身なので、この感動のかけらでも、何か役に立てることができれば、と思う。

 

(おわり)



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August 9, 2005
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